しっかり計画をたてよう! 戸建住宅の修繕計画の立て方
新築で購入した憧れの戸建住宅。しかし、屋根や外壁、ピカピカのキッチンやバスルームも、長い年月を重ねれば劣化は避けられません。いつまでも快適に暮らし続けるにはどうしたら良いのでしょうか。
答えは、メンテナンスやリフォームといった修繕計画を立てておくことです。将来的にどんな修繕が必要になり、それにはどれほどのお金がかかるのか?
大体の目安と、修繕費用の貯め方についてご紹介していきます。
家は購入してからが大事
マイホームを持つことが将来の夢という人は少なくないでしょう。しかし、家は手に入れることがゴールではありません。長年にわたって良い状態を維持し、快適に暮らし続けるのが大切です。
日本では、これまで住宅と言えば、新築で「購入」するものというイメージが強く、そのの「メンテナンス」や「リフォーム」についての関心度はあまり高くありませんでした。しかし、最近では新築価格の上昇などから、住宅をなるべく長持ちさせ、いつまでも快適に暮らしたい という人々が増えてきています。購入した住宅を長持ちさせるためには、適切な時期にメンテナンスやリフォームを行う必要があます。事前にしっかりと修繕計画を立てましょう。
住宅の修繕計画とは、住宅の部位と設備ごとの工事の内容、実施時期、費用の概算を含め、家を良い状態でキープしていくための総合的なプランです。
修繕計画といえば、マンションにつきものと思えますが、戸建住宅こそ修繕計画が大切です。多くの住人が共同で修繕積立を行うマンションに対し、戸建住宅のオーナーは1世帯。そのため、自分の家をきちんと維持できるかは自分次第となります。ご自宅 のどのような部位や設備にいつ、どのようなメンテナンスやリフォームが必要になるのか把握し、修繕計画を立てましょう。
内外装と主要な設備の耐用年数
修繕計画を立てる上で、知っておきたいのが内外装や主要な設備の耐用年数です。おおよその目安は次の通りです。
<外壁>
・モルタル壁:15~20年
・窯業系サイディング:15~20年
・金属系サイディング:15~20年
<屋根>
・日本瓦:40~60年
・人工スレート:20~25年
・一般的な金属屋根:20~30年
<躯体>
・土台、床組:土台以外は20~30年で全面取替え
<内装関係>
・壁紙:約10年で張替え
・建具関係:15~30年
・アルミサッシ:15~30年
・フローリング:状況によって検討
<設備>
・ユニットバス:10年~15年
・トイレ(全体):15年~20年
・エアコン:10年
・給湯器:10年
・ガスコンロ:10年
・換気扇:10年
(以上、出典:住宅金融支援機構 フラット35「マイホーム維持管理ガイドライン」、各メーカーの設計標準使用期間)
*これは、あくまでも一般的な目安です。各部位・設備とも実際の耐用年数は建物の立地条件や使用状況、グレードなどにより異なります。
一口に家といっても、いろんな部位と設備から構成され、それぞれ耐用年数があることがわかりますね。耐用年数を過ぎたものは、取り替えや全面補修が必要になりますが、それまでの間、何もしなくていいわけではありません。トラブルを防ぎ、良い状態を維持していくためには、定期的なメンテナンスも必要です。
戸建住宅を建築後の修繕の目安
主要な部分のメンテナンスとしては、新築から10年経過した時点で、スレートや金属屋根・外壁の塗替え、土台の防腐・防蟻処理をするのがよいとされています。壁紙の張替えや給湯器などの交換も同じ時期です。
その後も、ある一定の年数が経つごとにリフォームやメンテナンスが必要になります。その一般的な目安は次の通りです。
<新築から10年後>
・屋根・外壁の塗替え
・土台の防腐・防蟻処理
・壁紙の張替え
・設備の交換:給湯器、ガスコンロ、換気扇、エアコン
⇒おおよそに必要な修繕費用:約300万円
<新築から15年後>
・設備の交換:ユニットバス
・屋根・外壁の塗替え
⇒おおよそに必要な修繕費用:約200万円
<新築から20年後>
・屋根の塗替え、または葺き替え
・外壁の塗替え、または張替え
・土台の防腐・防蟻処理
・壁紙の張替え
・設備の交換:給湯器、ガスコンロ、換気扇、エアコン、トイレ
⇒おおよそに必要な修繕費用:約300万円~500万円
<新築から30年後>
・屋根・外壁の塗替え
・土台の防腐・防蟻処理
・壁紙の張替え
・設備の交換:給湯器、ガスコンロ、換気扇(レンジフードと想定)、エアコン、ユニットバス、キッチン
⇒おおよそに必要な修繕費用:約500万円
こうしてみると、けっこう費用がかかりそうです。概算費用を知るためにも、修繕計画を立てる際は、ハウスメーカーや住宅の販売会社などに相談することをおすすめします。おおよその費用がわかれば、その金額を目標に日ごろから費用を積み立てるようにすれば安心ですね。
修繕費用はどう積み立てていけば良い?
ここまでの項目でご紹介してきたように、戸建住宅の修繕には非常にお金がかかります。将来的なライフプランを組み立てている方は多いとは思いますが、「子どもの学費」「老後の蓄え」は想定していても、「家の修繕費用」まで考えている方は決して多くはないでしょう。想定外の出来事に100万円単位のお金を払う……これは大変な出費です。そこでお勧めしたいのは、マンション購入者が毎月支払う「修繕費」の感覚で、一定の金額を積み立てておくこと。あらかじめまとまったお金があれば、いざという時に慌てずに済みます。
積み立ては、銀行や生命保険会社などで簡単に申し込むことができますよ。
なるべく修繕費用を抑えるには?
家の修繕に高額の費用がかかってしまうのは仕方のないこと。しかしながら、屋根に関してはいくつかの方法で、葺き替え等の大がかりな修繕を先延ばしにすることができます。例えば、定期的な塗替えをすること。一般的なスレート屋根は放っておくと10数年で劣化が目立ってきます。そこで、10年を目安に塗替えを行うことにより、最大20~25年は使い続けることができるようになります。
他には、塗料自体にこだわること。金属屋根の場合、「フッ素系樹脂」の入った塗装鋼板を使用することにより、約20年間塗替えが不要となります。屋根の塗装は約30万~40万円、葺き替えをすると100万円以上かかると言われています。修繕費用はその内容・コストと頻度の両面から、長い目で見て検討することが大切です。
マンションと違って月々の修繕費を払う必要のない戸建住宅ですが、劣化や故障は同じように発生します。「まだ新築だから」と油断しているうちに修繕の時期を迎えてしまった…なんてことにならないように、上記を参考にして修繕計画を立て、戸建住まいの方もマンションと同じように修繕費用を積み立てておきましょう。
記事についてお気軽に
お問い合わせください。
閲覧履歴からあなたにおすすめの記事です。
-
沿岸地域で採用される屋根の特長とは?
みなさんは、一軒家の屋根を意識して観察したことはありますか? 屋根の形や材料は、場所ごとの環境によって需要が異なります。つまり、屋根には地域によって特色があるということ。そこで今回は、沿岸地域で採用されている屋根の特長を…
-
グランピングに欠かせない「ドームテント」のルーツ
近年、アウトドアの定番として急速に普及しているグランピング。テントや食材の準備をする手間がなく、快適でちょっぴり豪華なキャンプ体験ができるエンターテインメントです。実際に行ったことがなくても、ネットやテレビのニュースなど…
-
1000年以上長持ちする屋根建材としての「チタン」
原子番号22 Ti(Titanium)、通称「チタン」。 みなさんは、チタンという素材にどのようなイメージをもっていますか? チタンは実用金属の元素のなかで、鉄、アルミニウム、マグネシウムに次いで4番目に多い鉱物資源です…