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屋根の色が変わっていく? 世界遺産 姫路城の屋根修理のヒミツ

屋根

姫路城の屋根の色は白? それともグレー?

国宝であり、日本で初めての世界遺産である姫路城は、白鷺城(はくろじょう、しらさぎじょう)とも呼ばれ親しまれてきました。そう呼ばれるゆえんは、天守群のシルエットが、まるで鳥のシラサギが翼を広げたように優美に見えることからだといわれています(由来は諸説あり)。

2015年に、約6年にわたる「平成の大修理」を終えた姫路城は、“白過ぎ城”といえるほどお城全体の白さがきわだつ姿になり、まさにシラサギを思わせます。お城全体が白く見えるのは、漆喰の外壁に加え、屋根の目地にも漆喰を施工しているからです。しかし、これを見て、大修理以前と色合いがあまりに違うと感じる人も多いのではないでしょうか?

実は、修理をする前の姫路城の屋根の色は、長年にわたり濃いグレーでした。現在の白い屋根と見慣れていたグレーの屋根、どちらが本来の姫路城の屋根色なのでしょう? その答えは屋根修理にあります。

壮麗な天守を築いたのは

まず、姫路城の歴史について少し知っておきましょう。

姫路城の歴史は古く、1333年、姫路に築かれた砦(とりで)が始まりといわれています。1346年に本格的な城が築かれ、城主を変えながら時代を経て、1581年、羽柴(のち豊臣)秀吉が中国地方の毛利氏攻略の拠点として、黒田官兵衛の意見を取り入れながら3層の天守を持つ城を建設しました。

その後、関ヶ原の戦いにより功を成した池田輝政が姫路城の城主となり、1601年から8年の歳月をかけ新たな城を築きます。池田輝政が建設した姫路城は、外観5重、内部は7階という大天守と3方向の3つの小天守を渡り櫓(やぐら)で結ぶ連立式天守という豪華で壮麗なものでした。これが現在にも続く姫路城のシンボルとなっています。

姫路城の屋根材は?

姫路城のカラーイメージには屋根が大きく関わっているのですが、どのような屋根材を使って、どのようにして建てられたのでしょうか?

姫路城に使われている屋根材は、いぶし瓦と呼ばれる日本に古来から伝わる瓦の1種です。瓦は本来粘土を成型し焼成して作られますが、いぶし瓦は焼成の最後に「いぶす」ことで表面に炭素の膜ができます。これにより、いぶし銀のような独特の光沢と色合い持つ瓦となるのです。

姫路城の屋根は、このいぶし瓦を使い、筒状の丸瓦と平たい平瓦を組み合わせる本瓦葺きという工法で葺かれています。これは日本建築の中でも高度な技術が必要とされる葺き方です。

このようにして葺かれた姫路城の屋根は、いぶし瓦の色のはず…なのですが、姫路城の場合は、さらに瓦と瓦の継ぎ目である目地に漆喰を施し耐久性を高めています。これは池田輝政が築城したときと同じ手法です。瓦そのものはグレーですが、すべての目地を白い漆喰で縁どるようにしていることから、お城全体がシラサギのように白く見えるのです。

白い姫路城はいつまで見られる?

漆喰は施工後、経年により汚れやカビで黒く変色していきます。大修理以前に見慣れていたグレーの屋根は経年により変色したものだったのです。平成の大修理では、老朽化した漆喰と8万枚以上ある瓦を取り外し、屋根の解体が行われました。そして、取り外した瓦のうち再度使用できるものは汚れを落とし、新しく製造した瓦を足して屋根を葺き替え、目地の漆喰も新しく施工し直したのです。

このようにして、輝くような白さによみがえった姫路城ですが、漆喰はまた変色していきます。今回の大修理では、防カビ剤を使用することでしばらくは白さを維持できますが、竣工後から5年ほどで以前のようなグレーの屋根になるといわれています。シラサギのように白い姫路城は、今の機会を逃すと、次の大修理まで見れなくなってしまうかもしれませんね。

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