メルヘンの国の世界遺産と秘境に見る 美しい屋根と外壁の色合い
屋根と外壁の色はどう決める?
屋根と外壁の色合いは家の個性を左右するものといえますが、住む人のこだわりを反映させる一方で、景観とのマッチングも大切です。センス良く見える家にするためには、どのようにして屋根と外壁の色を選べばいいのでしょう?
そこで、参考にしたいのが、ヨーロッパのおしゃれな街並みです。メルヘンの国とも呼ばれるドイツには、美しい街並みを誇る地域が数多くあります。その中でも、特にメルヘンチックで個性的な景観の街をご紹介します。
ブレーメン、世界遺産のある街並み
1400年代初頭にゴシック洋式で建造され、1600年代にルネッサンス様式のファサード部分が増築されました。れんが造りの外壁と急勾配の緑の屋根の組み合わせが色、質感ともに美しいバランスを生んでいます。歴史と風格ある建物でありながら重苦しく感じさせないのは、外廊下のアーチやとんがり屋根の優雅な雰囲気によるものでしょう。
この市庁舎があるマルクト広場には、古いれんが造りの建物が建ち並びます。れんがの外壁の色は、建物によって濃淡の違いがありますが、街並み全体で統一感があるのは材料の質感がそろっているからです。
カラフルなおとぎ話のような街並み
それは、シュノーア地区と呼ばれる場所。ここには、カラフルでかわいい木造の建物が建ち並びます。シックで風格あるマルクト広場とは、また違ったおもむきです。
このシュノーア地区では、それぞれの建物が思い思いの色をつけているようにも見えますが、雑多な色の洪水にならないのは、トーンがそろっているからでしょう。色のトーンとは、明るさとあざやかさの似ている色をグループにしたもの。異なる色でも、周囲の色とトーンを合わせるとまとまって見えるのです。
秘境のモノトーンの町並み
なんとも不思議な光景ですが、このカラーリングには歴史的な理由があります。400年前、大火で町が焼失したのですが、住民たちが焼け残った材料で家を建て、白いペンキで外壁を塗り、町を再生させました。それ以降、文化財としてこの町並みが守り続けられ、周囲の深い森の緑とマッチして、シックで幻想的な景観をつくり出しています。
屋根と外壁の色を選ぶときは、景観に映える家にしたいのか、それとも景観に溶け込ませるのかがポイントになります。ドイツには、印象の異なるさまざまな街(町)並みがありますが、いずれも統一感があるのは、屋根と外壁の質感や色のトーンに共通性があるからでしょう。日本の家づくりにも参考にしたいですね。
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