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屋根勾配がデザインのポイント? 歴史に残るおしゃれな屋根の家

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おしゃれな家は屋根がポイント?

「おしゃれな家を建てたい!」と思ったら、何を参考にすればいいのでしょうか。まずは建築の歴史に残るおしゃれな住宅を見ることをおすすめします。とりわけ1920年代に成立したモダニズムと呼ばれる時代の建築家の作品には、いまの時代にも通用するモダンでスタイリッシュな住宅も少なくありません。

家の外観デザインは主に屋根と外壁によって構成されます。特に屋根は家の表情をつくる重要な要素ですが、モダニズム建築には屋根が特徴的な住宅がよく見られます。今回は、そうした住宅の中から、現代のおしゃれな家づくりの参考にしたくなる2つの作品をご紹介します。

屋根勾配がつくる家の表情

最初にご紹介するのは、1925年から26年にかけて横浜市山手町に創建された「エリスマン邸」です。「現代建築の父」と称されるチェコ出身の建築家アントニン・レーモンドの設計により、当初は、貿易商社で働くスイス出身のフリッツ・エリスマン氏の住居として建設されました。創建された当時のエリスマン邸は、木造2階建てで和館つき、屋根はスレート葺き、1階の外壁は羽目板張り、2階は下見板張りでしたが、現在は和館を除く部分が横浜市の元町公園内に再現されています。

エリスマン邸の外観デザインを見ると非常にすっきりとしたシンプルな印象を受けますが、これは、伝統的な意匠を重んじるモダニズム以前の洋館建築とは一線を画すスタイルとなっています。特に、そのイメージを強調しているのが、ゆるい勾配のスレート屋根でしょう。控えめといっていいほどシンプルなエリスマン邸の屋根ですが、水平線を強調した軒や2階と1階で方向を変えて張られた羽目板の外壁、よろい戸などとの組み合わせで、表情豊かな外観をつくり出しています。

屋根の印象を決めるのは

屋根の印象は形状や色によってつくられますが、傾斜の度合いである屋根勾配によっても大きく影響されます。屋根勾配が急になると、屋根の面積は大きくなり、全体に占める屋根の存在感も強くなるのです。屋根勾配がゆるいと逆のイメージになります。エリスマン邸の屋根が控えめな印象を受けるのは、落ち着いた色使いもありますが、その勾配も影響しているといえます。

さて、次にご紹介するのは、同じく木造のモダニズム住宅の1つですが、こちらは大きな屋根がシンボルの「前川國男邸」です。この住宅は、日本の近代建築の発展に貢献した建築家、前川國男の自邸として1942年、東京都品川区に建てられました。現在は東京都小金井市の江戸東京たてもの園で見ることができます。

前川國男はフランスで「モダニズムの巨匠」ル・コルビジェに師事した後、日本で開設されたレーモンドの設計事務所で働き、その後、独立して自身の事務所を立ち上げました。その事務所の所員であった崎谷小三郎が、前川邸の設計を担当しています。

存在感ある和のイメージの大屋根

前川邸の外観の最大の特長は、なんといっても、存在感のある大きな切妻屋根でしょう。それほど急な屋根勾配ではありませんが、軒も深く、大きく住まいを包み込むように感じられます。頂点から軒にかけて屋根の両端部に取り付けた破風板(はふいた)が軒に向かうほど幅広になっているのも印象的です。これは、伊勢神宮からインスピレーションを得たものだといわれています。

全体として和のイメージが強い前川邸ですが、現代の和モダンに通じるセンスが感じられます。モダニズムの旗手と呼ばれた建築家の自邸が日本の伝統イメージを取り入れたものであったのは非常に興味深いですね。

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