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世界遺産の清水寺に使われている屋根材は?

屋根材

京都・清水の舞台の高さは?

千年の都として栄えた古都・京都。二条城や平等院など「古都京都の文化財」として知られる17ヵ所の文化財は世界遺産にも指定されています。
そうした文化財群のなかでも、特に有名なのが清水寺です。このお寺を有名にしているのは、ことわざにもなっている「清水の舞台」とその景観をつくり出している立地といえるでしょう。

清水寺は幾つかの建物からなりますが、清水の舞台と呼ばれている部分は、本堂の前面に張り出すようにつくられています。本来は特別な法会などで観音さまに芸能を奉納するための舞台で、その面積は約190平方メートル。およそ家一軒分ほどの大きさになります。

この大きな舞台が切り立った断崖にせり出すようにつくられているのですが、これはどれほどの高さなのでしょうか?
崖下の礎石から舞台までは約12メートルですから、現代でいえば4階建てのビルに相当する高さです。山あいからこの建物を眺めると、舞台を支える柱の下の部分や礎石が木々に囲まれていることで、より高さが強調されています。また、舞台に立って景色を眺めると、まるで中空にいるかのようにダイナミックに周囲の絶景を楽しめます。

存在感あるもう1つのシンボル

このように清水寺のシンボルとなっている本堂の舞台ですが、その本堂には、もう1つ大きなシンボルがあります。それは、本堂の外観の大きな面積を占める屋根です。

その表面積は約2050平方メートル(約620坪)という非常に大きなものですが、棟(屋根の頂点)から軒先まで、なだらかな曲線で構成されています。この屋根の造りは「寄棟造り」と呼ばれ、平安時代の宮殿や貴族の邸宅の建築様式の流れをくむものです。また、屋根材には檜皮(ひわだ)が使われています。

清水寺本堂の大屋根は、特に舞台側の軒が深く作られていて、これが強い存在感となっています。清水の舞台のダイナミックな迫力はこの大屋根もあってのことといえるでしょう。

こうした特徴のある清水寺の本堂ですが、いつ頃建てられたのでしょうか?

清水寺の開創は778年。1200年もの非常に長い歴史のあるお寺ですが、1629年(寛永6年)の大火災によりほぼ全焼してしまいます。現存しているこの本堂は、その後、徳川家光の寄進により1633年に再建されたものです。

「平成の大改修」のクライマックスは

家光による再建からすでに400年近く。この間、修理がくり返されてきましたが、傷みが激しくなったため、清水寺では2008年から「平成の大改修」が行われました。そのクライマックスともいえる本堂大屋根の葺き替え工事が始まったのは2017年2月。

これは屋根材の檜皮を交換する工事になりますが、檜皮とは文字通り檜(ひのき)の樹皮のこと。檜皮を屋根材として加工し、屋根を葺く技術は古来より日本で独自に発達してきました。檜皮は樹齢50年から60年の檜から採取しますが、樹皮が再生されるまで8年程度かかります。このように檜皮は希少な材料であり、同じ植物性の屋根材である藁(わら)などに比べると非常に高価なため、檜皮葺きは伝統的な神社仏閣などの屋根に限られています。

先述の通り、清水寺の屋根は非常に大きなものですから、その葺き替えには大量の檜皮が必要になります。工事を運営する京都府文化財保護課では、10年をかけて全国から檜皮を集め葺き替え工事にのぞみました。

長きに渡り行われた大改修工事は、2020年2月に無事終了しました。礎石から屋根の頂上まで組まれていた足場も撤去済みです。清水寺の大改修は定期的に行われる予定で、次回は数十年後といわれます。木製の足場や足場の組み方など工事中の姿も話題になりましたが、屋根の檜皮(ひわだ)のふき替えなどを行い、新しい姿に生まれ変わった清水寺の姿は壮大で一見の価値ありです。歴史に想いを馳せながら拝んでみてはいかがでしょうか。

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