ひと昔前とは価値観が変化? いま知っておきたい現代の別荘事情

かつて別荘は、一部の富裕層などが所有する特別な存在というイメージがありました。しかし近年、その価値観は大きく変化しています。休暇や余暇の滞在拠点にとどまらず、さまざまな役割を担う存在として注目される別荘。地域性や景観性、そこに調和する設計や素材選びなど、最新のトレンドから基礎知識まで、現代の別荘事情をひも解きます。
現代における別荘の定義と多様化する用途

別荘の定義とは、日常生活を送る住まいとは別に、休暇や余暇を過ごすために所有・利用される住宅を指します。一般住宅が利便性や機能性を重視して設計されるのに対し、別荘は滞在中の過ごし方や非日常を味わう空間づくりに重点が置かれる点が特徴です。
近年はライフスタイルの多様化により、週末に郊外で過ごすセカンドハウスとしての利用や、リモートワークを活用したワーケーションの拠点、友人や親戚たちと交流する場など柔軟に活用されるケースが増えています。
地域性が生む価値と景観を重視する設計の理由

別荘は、その土地が持つ自然環境や地域性と切り離して考えることはできません。立地環境そのものが、資産価値や滞在の満足度を左右する重要な要素となります。
代表的な別荘地として知られる軽井沢は、年間の平均気温が9℃前後、真夏(7~8月)でも平均22℃前後と冷涼な気候です。豊かな自然に包まれた環境は、「避暑地」として長年にわたり高い評価を受けてきました。
また熱海や伊豆も海と山、温泉に恵まれた別荘地として根強い人気があります。マリンスポーツや釣り、温泉巡りなど、アクティブな余暇を楽しめる環境が整っている点も魅力です。
これらのエリアに共通するのはアクセスの良さで、東京から約2時間という距離は、無理なく通える別荘地選びの目安となっています。
また、設計面では地域性を生かし、海を望む大きな窓や、木立を感じられるテラスや吹き抜けなど、自然を室内に取り込む工夫が特徴的です。
通いやすさと自然環境の豊かさは、滞在の満足度や資産価値にも大きく影響するといえるでしょう。
非日常を演出する素材と内装のこだわり

別荘の設計で重視されていることは、滞在そのものの質や非日常の体験を高めることです。ここでは、別荘ならではの素材選びや内装の工夫とその効果を紹介します。
◎広さを生かした開放感と動線
吹き抜けや大開口の窓を採用し、家具は低めのデザインで統一することで、空間全体の開放感を強調できます。また、通常の住宅では60cm程度とされる動線の幅を、別荘特有の広さを生かして1m以上確保することで、移動にも余裕が生まれ、心にゆとりをもたらす空間を実現できます。
◎リフレッシュと交流の場所
炎の揺らめきが楽しめる薪ストーブは、実用的な暖房であるとともに視覚的な癒しをもたらしてくれます。また、室内と外を緩やかに繋ぐ「土間サロン」を設ければ、土足のままゲストを招くことができる交流の場として活用できます。
◎非日常を感じるパーティーキッチン
オーダーメイドで木製のキッチンやカウンターを設ければ、単なる調理の場ではなく、料理を振る舞いながら非日常空間での交流を楽しむ過ごし方が可能になります。
◎間接照明の空間演出
あえて照度を落とした間接照明を配置することで、空間に奥行きと落ち着きをもたらし、リラックス効果を高めてくれます。
◎自然環境と調和する木材と塗り壁
温かみや調湿性に優れた無垢材のフローリングや、丸太の丸みを残した太鼓梁を使えば、室内にいながら自然を感じさせてくれます。壁面には調湿や脱臭、有害物質の吸着効果を持つ漆喰や珪藻土などを用いることで、清々しく快適な空気環境に整います。
◎機能性石材の活用
大谷石などの消臭効果のある機能性石材を暖炉の周りやキッチンカウンターに置けば、デザイン性と機能性を両立させることができます。
◎あえて「置かない」もの
日常を連想させるテレビや、周囲の視線を気にする必要がない場所でのカーテンなどをあえて置かず、自然光や風景そのものを楽しむ設計も多く見られます。
◎環境に応じた素材選定
海辺の別荘では、美しい景観を楽しむ一方で、潮風による錆を防ぐために耐候性の高い金属素材や樹脂サッシといった塩害対策が不可欠です。
周囲の環境に馴染み、経年変化を楽しめる自然素材を取り入れた空間づくりは、都会の喧騒を忘れて心身をリセットするための別荘ならではの価値を生み出します。
「所有」にこだわらない別荘のトレンド

かつて別荘は、富裕層が多額の資金を投じて所有するものというイメージが一般的でしたが、近年は所有にこだわらず、身近に別荘ライフを楽しめる選択肢が広がっています。
代表的なのが貸別荘やシェアリングサービスで、一棟貸しの貸別荘や、定額制で全国の拠点を利用できるサブスクリプション型、複数人で共同所有する仕組みなどが普及しています。これにより、初期費用や維持費を抑えながら質の高い滞在が可能になりました。
一方、所有する場合もコンパクトで合理的な形が注目されています。なかでもトレーラーハウスは、税制面でのメリットや設置の柔軟性から、比較的低コストで別荘を持てる選択肢として関心を集めています。使わない期間に貸し出して維持費に充てるなど、運用面での工夫も進んでいます。
また、長期不在を前提としたIoTによる防犯や管理も一般化しています。スマートロックや防犯カメラを活用し、遠隔から安全を確保できる点も現代的な特徴です。
別荘は必ずしも一棟を所有するだけでなく、目的や利用頻度に応じて最適な形を選ぶ時代へと変化しています。
記事についてお気軽に
お問い合わせください。
閲覧履歴からあなたにおすすめの記事です。
-

ひと昔前とは価値観が変化? いま知っておきたい現代の別荘事情
かつて別荘は、一部の富裕層などが所有する特別な存在というイメージがありました。しかし近年、その価値観は大きく変化しています。休暇や余暇の滞在拠点にとどまらず、さまざまな役割を担う存在として注目される別荘。地域性や景観性、…
-

2020年代で注目されている住宅のトレンドとは?
家づくりにも時代によって流行があります。そこで今回は、2020年代の住宅に関するトレンドをご紹介します。近年では、平屋住宅の人気が続いているほか、バルコニーを設けない間取りやこぢんまりとした小空間、キッチンにこだわる設計…
-

暮らしを彩る「カーポート」のお役立ち情報をご紹介
家づくりにおいて車の保管場所は、単なる駐車スペースにとどまらず、住まいの外観や暮らしの質に大きく関わる重要な要素です。今回は車庫の形のひとつ、「カーポート」に注目。カーポートは単に車を雨や日差しから守るだけでなく、デザイ…































