【シリーズ特集】建築のプロが選んだ究極の住宅とは?<第3回 性能とデザインを両立する建材選び>

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【シリーズ特集】建築のプロが選んだ究極の住宅とは?<第2回 時代が求める「高断熱」と住まいの性能>
全4回のシリーズ特集「建築のプロが選んだ究極の住宅とは?」。前回は、住まいの高断熱化が求められる時代背景や、金属サンドイッチパネルの断熱性能に迫りました。
高い性能を備えた建材が使用されていたとしても、毎日を過ごす住まいとして心地よさがなければ、その価値を十分に発揮できるとは言えません。第3回では、サカイコンストラクション株式会社 代表取締役の杉原美作保さんに、自宅の建材選びやデザインで重要視したポイント、そして築4年を迎えた今だから語れる住み心地と光熱費の実際をうかがいます。
建材選びで妥協しなかった重要なポイント

――建材を選ぶうえで、絶対に譲れなかった点はどこですか?
パネルの室内側をそのままの状態で見せることです(建築でいう「表し」)。内側に石膏ボードを貼ってクロスで隠すんじゃなくて、素材そのものを見せたかった。それができる仕様を選ぶことが大前提でした。外壁に採用した耐火イソバンドPro厚50mmなら、内装材を貼らなくても防火上の認定をクリアできるんです。25mmだと内装施工が必要になるので、コストは上がっても50mmの一択でした。
――外装の色もこだわられたそうですね。
私の場合はシルバー一択ですね。カラーバリエーションは8色ありますが、若いころに現場で一目惚れしたのがシルバーの壁でしたから。雨どいや水切りなどの細かい部材も、すべてシルバーやステンレスで揃えています。
無骨さを活かした、唯一無二のデザイン性

――表しの仕上げとシルバー。この2つのこだわりは、住まい全体のデザインにどうつながっているのでしょうか。
シンプルイズベスト、それだけです。中庭の吹き抜けを中心に、余計なものを一切置きません。立体駐車場や倉庫のような、柱や梁がむき出しになった構造を見せる感じがかっこいいと思っていて、住宅で実現してみたんです。
――配線まで見せているのは驚きました。
電気の配線ラックをあえて露出させて、そこに照明のレールを通しています。見た目だけじゃなく、必要になったらそこからコンセントや照明を増やせるという実用性もあるんですよ。
現場の視点で見極めた、パネルの真の実力
――妥協せず筋を通してこられたんですね。一方で、工場や倉庫向けに使われる建材を住宅に採用すると聞くと、「そこまでの性能は一般住宅には必要ないのでは」と感じる方もいるかもしれません。
たしかに、一般住宅では求められないほど高い耐久性や断熱性、防火性能を備えていると見ることもできます。ただ、私は単純に高性能だから採用したわけではありません。
このパネルは1枚で外装・断熱・内装仕上げの3つを兼ねているので、一般的な住宅で必要になる内装下地や仕上げの工程が大幅に減り、施工効率が高いんです。
軽量なので建物への負担も少なく、工期短縮にもつながります。住宅に工場用建材を持ち込んだというより、性能を合理的に活かせる建て方だと考えています。
――メンテナンスの面ではどうでしょう。
ほぼメンテナンスフリーです。一般的な住宅の外壁は10年ぐらいで塗り直しが必要になりますが、このパネルは不要です。表面のSGL鋼板が、一般的なガルバリウム鋼板より3倍近く長持ちする素材なので。手を入れるとしたら、10年に一度シーリングを打ち替えるぐらいですね。
夏は涼しく、冬は暖かいは本当? 実際の住み心地

――築4年、良い点も想定外だった点も見えてきたと思います。まずは良かった点を教えてください。
遮音性の高さですね。近くの大通りで夜、人が騒いでいても、家の中ではほとんど気になりません。パネル自体の性能に加え、窓や建物全体のつくりも関係していると思いますが、外の音を気にせず過ごせるのは想像以上でした。
――反対に、想定外だった点はありますか?
正直、何点かあります。まず、3階は天井を張っていないので屋根が近くて、真夏は暑いと感じます。住み始めたころは、2階のリビングにだけエアコンを設置していたんですが、3階の奥にある部屋で息子が真夏に在宅勤務をしていたら熱中症になりかけてしまい、あわてて3階にエアコンを設置しました。
建物全体の断熱性能には満足していますが、間取りや空間の使い方によっては空調計画も大切だと実感しましたね。
土砂降りのときの雨音が大きいのも予想外で、鉄板に雨が弾く音が就寝時に気になりますね。
――対策は考えていますか?
真夏の暑さ対策として、屋根の表面に遮熱シートを施工する予定です。表面温度で3〜4度ほど変わるようなので。雨音についても緩衝材などを検討中です。
家を建てる前から「悪いところは試行錯誤しながら改善すればいい」と思ってたので、こうした課題が出てくること自体は想定内。金属サンドイッチパネルを住宅に使うとどうなるか、どんな工夫が必要になるのかを、日々試しているところです。
光熱費とライフサイクルコストの真実

――住み心地の面はいろいろ試行錯誤中なのですね。暮らすうえでは、日々の光熱費も気になるところです。以前のお住まいと比べていかがですか?
断熱性能の効果もあってか、室内の温度が安定しやすく、エアコンを使う頻度は減りました。電気代も以前より抑えられています。ただ、うちはキッチンのコンロと給湯にガスを使っていて、冬はガスファンヒーターも使うので、ガス代はそれなりにかかります。
光熱費全体で見ると劇的に安くなったというより、快適性が向上しながらも大きな負担増はない、という感覚ですね。
――そうなのですね。では、建てる際の初期コストはいかがでしたか?
正直、高いですよ(笑)。鉄骨造に加え、中庭や吹き抜けなど通常よりもこだわった設計にしているので、一般的な住宅と単純比較はできませんが、決して安い家ではありませんでした。資材価格の高騰もあり、想定以上にコストはかかりました。
――それでも「建てた価値があった」と言えますか?
言えますね。たしかに初期コストは高めでしたが、建物は長く使うものです。住み始めて4年になりますが、今のところ外装の劣化もほとんど気になりませんし、結露やカビとも無縁です。
将来的なメンテナンス費用まで含めて考えると、この性能と快適さは十分に見合うものだと思っています。目先の建築費だけではなく、長い目で見た価値を実感しています。
初期コストの高さは事実です。しかしメンテナンス費用の少なさや建物の寿命まで含めた「ライフサイクルコスト」で見れば、評価は変わってきます。
最終回となる第4回では、この家に数年住んで見えてきた新たな気づきと、金属サンドイッチパネルの一般住宅への普及の可能性、そして杉原社長が描くこれからの構想をうかがいます。
耐火イソバンドPro、SGL、ガルバリウム鋼板は日鉄鋼板(株)の登録商標です。
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