自宅で熱中症にならないための対策
また今年も夏が近付いてきました。プールや花火、お祭りなど楽しいイベントもたくさんありますが、それと同時に訪れるのが熱中症のリスクです。みなさんは、熱中症がもっとも発生しやすい場所がどこだかご存知ですか? 意外にも“住居”なんです。「自宅だから安心!」という考えは危険。そこで今回は、自宅でできる熱中症対策についてご紹介します。
熱中症の約4割が自宅で発生
総務省の発表では、令和3年度(5?9月)の熱中症による救急搬送人員の累計は47,877人。平成30年度の95,137人をピークに年々減少傾向にありますが、油断できる状況ではありません。中でも気になるデータが、熱中症の発生場所。令和に入ってからの過去3年間で熱中症による救急搬送が最も多い場所は住宅なのだそうです。
<熱中症による救急搬送状況(住宅)>
令和元年 71,317人中27,500人(38.6%)
令和2年 64,869人中28,121人(43.4%)
令和3年 47,877人中18,882人(39.4%)
※参考資料:総務省の報道資料
全体の約4割が自宅で熱中症になっています。テレワークの普及によって在宅勤務も増えたいま、自宅での熱中症対策はしっかりと意識すべきです。熱中症になる原因はさまざまですが、屋内だと「高温・多湿」「直射日光が入る」「風通しがよくない」など環境面による影響が挙げられます。みなさんの自宅に当てはまる項目はありますか? これらを意識しつつ、事前にできる対策、暑くなった室内を涼しくする方法を覚えておきましょう。
事前にできる熱中症対策
室内の温度を下げるときにまず思い浮かぶのはエアコンですよね。室内の温度は28℃以下に設定すると熱中症の予防になるので、高温問題を解決するのにエアコンはとても有効です。ただ、エアコンをつけっぱなしにしていると、どうしても電気代が気になってしまう方も多いはず。そういった方は、部屋が暑くなる前からある程度の対策をしておきましょう。室外から入り込む熱の多くは窓からです。遮熱カーテンをつけて直射日光を遮れば、窓から入ってくる熱をカットしてくれます。ゴーヤやキュウリ、アサガオなどツル性の植物で作るグリーンカーテンも遮蔽効果が高い優れもの。外壁に作ることもでき、節電効果が高いという実験結果もあるのでおすすめです。また、コンクリートのベランダは、直射日光が当たると日差しを吸収して表面温度が高くなります。ベランダにはサンシェードや簀の子で影を作って、照り返しを防ぐことで結果的に部屋を涼しくできます。
暑くなった部屋を涼しくする方法
どうしても部屋が暑くなってしまったときは、エアコンを使わずに室内を涼しくする方法も試してみてください。まず重要なのは換気です。部屋を閉め切っていると熱気がこもって暑くなってしまうので、換気をして熱を外へ逃がしましょう。窓を開ける際は、対角線上にある2カ所を開けることで、風の通り道ができて効率よく換気できます。窓が対角線上にない、もしくは1カ所しかない場合は、玄関のドアや換気扇を回すなどで代用してもOKです。換気の効率をさらに高めたいなら、扇風機を使ってください。扇風機は後ろ側の空気を取り込んで前へ流すので、前面を外側に向けることで部屋の中の熱気を外に逃すことができます。外出先から家に帰ってきたときも、すぐにエアコンをつけるより一度換気してからのほうが冷房効果もアップするので試してみてください。また、直射日光が当たって熱を持った屋根や外壁、ベランダなどに打ち水をするのも効果的です。建物自体を外から冷やすことで、効率的に部屋を涼しくできます。窓やエアコンの室外機周りなどに打ち水をするのもおすすめです。集合住宅のベランダの場合は、隣や階下に迷惑がかからないよう注意してから実施しましょう。
また、窓辺の熱を遮断する方法、屋根や外壁のリフォームなどでも部屋や家を涼しくすることもできるので、下記の記事も参考にしてみてください。
窓辺の熱を上手に遮断して、涼しく過ごすためのヒントをご紹介
https://roofstyle.niscs.nipponsteel.com/archives/1293
屋根や外壁の遮熱塗装で夏の住まいを快適に
https://roofstyle.niscs.nipponsteel.com/archives/1253
日々の過ごし方を変えて暑さを防ぐ
部屋の環境を変えること以外にもできる熱中症対策はあります。たとえば毎日30分間、「やや暑くて」「ややきつい」と感じる環境下でウォーキングをすることで、暑さに強い体を作ることができます。2週間ほど続ければ効果が出るので、毎年夏の暑さにお悩みの方はぜひ挑戦してみてください。こまめな水分補給も重要な対策のひとつです。室内だと忘れがちになるので、タイマーを使うなどして意識的に水分を摂るようにしましょう。飲料は、お茶や塩分を含んだスポーツドリンクなどがおすすめです。直に体を冷やすのも効果的な対策です。冷却シートや冷やしたタオルを首元の太い血管に当てることで、効率良く体を冷やすことができます。時間にゆとりがあるなら、シャワーを浴びることで簡単に体温調節ができます。健康状態に気を配るのも熱中症対策の基本です。体調不良になると熱中症にかかりやすくなるので、生活リズムは崩さないように注意しましょう。夜はエアコンや扇風機をフル活用してでも、しっかり眠れるように対策を。食事もミネラルやビタミンが取れるメニューを意識して、健康な体を維持できるように努めましょう。
<自宅でできる熱中症対策まとめ>
【事前にできる対策】
1. 遮熱カーテンやグリーンカーテンで直射日光を遮る
2. サンシェードや簀の子でベランダに照り返しを防ぐ
【暑くなった部屋を涼しくする対策】
3. 対角線上にある窓を開けて換気し、部屋の熱気を逃がす
4. 扇風機を使って換気の効率をアップ
5. 打ち水で建物自体を冷やす
【行動の変化による対策】
6. 毎日30分間のウォーキングで暑さに強い体を作る
7. 室内でもこまめに水分補給をする
8. 冷却シートや冷えたタオルなどで直に体温を下げる
9. 生活リズムを守って健康な体を維持
そのほかにも、リフォームによって解決できることもあります。熱が入りやすい窓周りは、グリーンカーテンやサンシェード、オーニング、スリットシャッターを設置するなど、リフォームのバリエーションも豊富。外から見える部分でもあるので、見た目にこだわりたい方はプロにお任せしましょう。費用はやや高めになりますが、窓自体を見直すのも効果大です。遮熱性に優れた窓に取り替えたり、新しい窓を取り付けて二重窓にしたりと、夏仕様の窓に変えることで快適に過ごすことができます。もちろん屋根や外壁の素材を遮熱性能の高いものに変えるのも効果的です。自宅環境や予算に合う方法を選んで、しっかり熱中症対策をしましょう。
記事についてお気軽に
お問い合わせください。
閲覧履歴からあなたにおすすめの記事です。
-
1000年以上長持ちする屋根建材としての「チタン」
原子番号22 Ti(Titanium)、通称「チタン」。 みなさんは、チタンという素材にどのようなイメージをもっていますか? チタンは実用金属の元素のなかで、鉄、アルミニウム、マグネシウムに次いで4番目に多い鉱物資源です…
-
過酷な自然との闘い〜北海道の屋根の歴史と進化〜
地域によっては冬と夏の気温差が60度にも達し、冬は一日に1メートルも雪が積もる過酷な気象の北海道で、断熱性や気密性を確保するための建材の役割は極めて重要です。 明治時代に開拓使が入植して以降、道外とは異なった進化を遂げて…
-
屋根の用語、いくつ知っていますか? 〜Vol.2〜
前回の記事 屋根の用語、いくつ知っていますか? 〜Vol.1〜 歴史とともに増えていく屋根材に関する用語 瓦や金属など、屋根材を大まかに見分けるのはさほど難しいことではないでしょう。しかし、瓦や金属にはさま…