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家を建てるときに知っておきたい! 住宅の屋根勾配の考え方

ライフスタイル

家を建てようとするとき、ぜひしっかりと考えてほしいのが屋根の勾配をどうするかという問題です。屋根づくりにおいては素材選びとともに、勾配の度合い、屋根の形が重要な意味を持ってきます。
勾配の違いによるメリットとデメリットなど、屋根勾配を考えるときに知っておきたいポイントについて解説します。

屋根づくりの重要ポイント

住宅にとって屋根は日々の雨風や日差し、また台風などの災害から住まいを守ってくれる大切な部分です。一方、洋風のとんがり屋根や重厚な大屋根など、屋根は建物の外観イメージづくりにも大きく影響します。
したがって、家を建てるときにどのような屋根にするかは、住宅の性能とデザインの両面から見てとても大事なことなのです。

屋根づくりには、屋根材選びや形状をどうするかなど、いくつかのポイントがあります。そこで、性能、デザインともに納得できる屋根を作るために、知っておきたい屋根材と屋根勾配の関係についてお話しします。

素材やデザイン以外にも屋根勾配にも気を配ろう

一般的な住宅用の屋根材には、粘土瓦、化粧スレート、ガルバリウム鋼板があります。これらの屋根材はそれぞれ質感や色のバリエーションが異なることから、どの屋根材を選ぶかで屋根ひいては家全体の印象が違ってきます。
また、屋根の面積が大きいほど、屋根の印象が強くなりデザインのバリエーションも広がります。そして屋根の面積は主に屋根勾配によって決まります。

屋根勾配とは、屋根の傾斜角度のこと。傾斜していることにより雨水を流すことができるので、建物 の場合、どのような屋根にも勾配をつけることが欠かせません。

このように、屋根勾配は防水という屋根の基本的な性能を維持する上で非常に重要な要素ですが、屋根材によって適切な屋根勾配が異なります。屋根材に合った必要最低限の勾配がついていないと、雨水をじゅうぶん排水できず雨漏りを起こす可能性があるのです。

屋根材別、必要になる最低勾配とは

ここで、それぞれの屋根材の特徴と必要な最低勾配を知っておきましょう。屋根勾配は、底辺を10寸とする直角三角形の高さであらわします。例えば、1寸勾配であれば、底辺10寸高さ1寸の直角三角形の斜辺が勾配となります。

粘土瓦(日本瓦)

粘土を成型し焼いた陶器質の屋根材。形状はいくつかあるが和風住宅にマッチする。色は黒、グレー、いぶし銀などが中心。必要な勾配は4寸以上 が目安。

化粧スレート

セメントを原材料にした屋根材。形状は薄い板状のみで、洋風住宅に合わせやすい。塗装製品なので、色数は豊富。必要な勾配は2.5寸以上 が目安。

ガルバリウム鋼板

サビに強く耐久性の高い金属鋼板。板状や和風・洋風の瓦タイプなどさまざまな形状がある。塗装して仕上げるので、色数は非常に豊富。必要な勾配は0.5寸以上が目安(形状により異なるので、要相談)。

このように屋根材によって違いがありますが、最低限必要な勾配が小さいものほど、さまざまな勾配に対応できます。とはいえ、同じ屋根材でも葺き方によって適切な勾配が異なります。
例えば、いろんな勾配に幅広く対応できるガルバリウム鋼板ですが、シンプルな縦方向の葺き方なら0.5寸、瓦の形状では3寸以上が目安です 。

家を建てるときに知っておきたい。 屋根勾配別のメリットとデメリット

次に、屋根の勾配の度合いによるメリットとデメリットについて見てみましょう。

急勾配屋根のメリットとデメリット

急勾配屋根の最も大きな特徴は雨水が流れ落ちやすいことです。水はけが良いので雨漏りのリスクが減ります。
また、水が溜まらない分、塗装の剥がれや水苔の発生が抑えられ、耐久性が高くなります。屋根が高くなるので全体の見栄えが良くなり、屋根裏スペースを作れるのもメリットでしょう。

デメリットは耐風性が弱くなること (=強い風に弱い)、屋根面積が広いため施工や塗替えのコストが高くなること、メンテナンス時などに足場が必要になることなどです。

並勾配屋根のメリットとデメリット

並勾配屋根は急勾配と緩勾配の中間的なスタイルです。メリットは水はけ、デザイン、コストとどの点においてもバランスが良いことでしょう。逆に、最も多く普及している平均的なスタイルなので、個性に乏しくなりがちなのはデメリットと言えるかもしれません。

緩勾配屋根のメリットとデメリット

緩勾配の屋根の特徴は急勾配とは逆になります。メリットは台風をはじめとする強風の影響を受けにくいことです。また、室内空間が大きく取れ、高い天井を設計しやすくなることも挙げられます。
そして、施工価格を抑えられる場合があります。それは屋根面積が急勾配屋根に比べて小さくなることで、材料費や施工料が下がるためです。また、建物の仕様によりますが、工事をするときに足場が必要なくなる可能性があります。これは、特にリフォームの時に重要です。屋根補修用の足場を設置するのに数十万円かかることもあるため、長い目で見てのコストダウン効果が期待できます。
デメリットは雨水が溜まりやすいことです。屋根構造に応じた適切な勾配が確保されていないと、屋根材の腐食が進んで耐久性が低くなる懸念があります。また、雨漏りのリスクも高くなります。
見栄えについては好みもありますが、地上からはほとんど屋根は見えなくなります。建物自体が小さく見える傾向があるため、外観のトータルイメージを大事にしたい方は注意が必要です。

結局どうするべき? おすすめの屋根勾配とは

屋根勾配をどうするか迷ってしまった場合には、3寸勾配がおすすめです。上の分類で言えば、6寸勾配以上が急勾配、3寸勾配以下が緩勾配に該当します。

3寸勾配以上であれば、雨水が溜まって雨漏りにつながることはさほど多くありません。耐風性もまずまず、見栄えも平均的です。そして多くの屋根材が使用できるのも大きなメリットです。
将来、異なる屋根材に葺き替えたいと考えたときにも容易に対応できるメリットもあります。

立地条件や地域の環境、住宅性能についても考えよう

この他に住宅の立地条件や環境も、屋根勾配そして屋根のデザインを決めるポイントになります。
例えば、都市部の斜線規制がある地域では、決められた斜線の範囲内に建物をおさめなければいけません。一般的には北側が規制されますが、屋根の両側を同じ勾配にすると建物の容積が取れないことも。

その場合、屋根の形状を片流れにし、容積を確保する方法があります。また、積雪地域では、屋根に積もった雪が自然に落ちるようにするのかしないのかで屋根勾配が違ってきます。

また、太陽光発電システムを設置する場合には、設置できる勾配なのかという点についても確認しておく必要があります。一般的には、太陽光パネルを設置する際の最適な屋根勾配は6寸勾配(約31.0度)と言われています。
さらに細かく言えば、最も効率的に発電できる最適傾斜角は、屋根が向いている方角と緯度によっても違ってきます。事前に太陽光発の設置業者に聞いてみるのが最も確実です。

以上のように屋根づくりにはさまざまな条件が関わってきます。そんななかで、わが家らしいこだわりのある屋根にするには、いろんな勾配や形状にフレキシブルに対応できる屋根材を選ぶことが大切かもしれません。もしも迷ってしまった場合には、耐久性が高くデザイン性にも優れたガルバリウム鋼鈑を選ぶことをおすすめします。

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