リフォーム向け物件の探し方とは? そのポイントを紹介
価格帯の低い中古住宅を購入し、設備や内装、間取りを自分好みにリフォーム、リノベーションする方が増えています。家族構成やライフスタイルにあわせた自由な家づくりを、新築よりも低価格で実現できることに魅力を感じているようです。そこで重要になるのが、リフォーム、リノベーション向け物件の探し方。数限りない物件情報の中から理想のマイホームと出会うにはどうすれば良いのか、そのポイントをご紹介します。
中古物件をリフォーム・リノベーションするメリット
ここ数年間、戸建住宅の建設費用ならびに新築住宅の価格も高止まりの傾向が続き、新築着工件数も低水準で推移しています。ただ、細部までこだわって思い通りの家を新築したい、ピカピカの新築住宅に住みたいと思っていても、現実には実現させることがなかなか難しい方も多いのではないでしょうか。
一方で、注目したいのが、安定した価格が続いている中古戸建住宅です。同じような面積や立地条件で見た場合、築年数などにもよりますが、中古住宅なら新築よりも物件価格を低く抑えられるというメリットがあります。その分、予算をリフォームやリノベーション費用に回し、こだわりの家づくりをしてはいかがでしょうか? 特に、内外装や設備を一新するリノベーションなら、注文建築のような感覚で新築同様の仕上がりになります。
リフォーム・リノベーション向けの中古物件を探す前に準備すべきこと
ではどのようにリフォーム、リノベーション向けの中古物件を探せば良いのでしょうか。まず以下の準備をしましょう。
・リフォーム・リノベ―ションについての基礎知識を身に付ける
リフォームやリノベーションをしたいと考えていても、具体的な知識を持っている人は多くないでしょう。理想の実現にかかる予算や期間は? 施工会社の選び方は? そもそも、リフォームとリノベーションの違いは? 何も知らずに動きだすのはトラブルのもと。後悔することのないように、まずはインターネットや書籍から基礎知識を学んでおきましょう。
・相場を把握する
インターネットの住宅情報サイトなどを利用して、現在市場に出回っている中古物件の価格相場を調べましょう。希望する地域や築年数、間取りなど、ある程度条件を絞って検索してみると、目安となる価格帯が見えてきます。
・おおよその支払い計画を立てる
物件の価格相場を把握したら、次は支払い計画です。住宅ローンを利用する場合、自己資金はいくら用意できるのか、金利タイプは固定か変動かなどを、現在の資産状況や今後の収入見込みと照らし合わせてざっくりと考えておきましょう。最近は、住宅価格とリフォーム、リノベーション費用をまとめて借り入れできる「リフォーム一体型住宅ローン」を扱う金融機関も増えているので、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
・物件選びにおける優先順位を決める
価格は○○○○万円まで、最寄駅からは徒歩○分以内、間取りは、日当たりは……。憧れのマイホームに思いを馳せるとつい欲張ってしまいがちですが、すべての希望に合う物件はそうそう見つかるものではありません。自身のライフスタイルを考慮した上で、あらかじめ条件の優先順位を決めておくと、物件探しがスムーズになります。
中古物件をリフォーム・リノベーションする際は郊外や地方移住も視野に
リフォーム・リノベーションに費用をかけて思い通りの家づくりをすることに重点を置き、リーズナブルな価格の物件を探すのも良いでしょう。中古住宅は新築よりも圧倒的に物件数が多いですが、郊外や地方移住も視野に入れれば、さらに選択肢が増えます。
郊外や地方移住といっても、転職を考えるほどの距離でなくてもいいのです。例えば、地図を用意して、職場を中心に通勤1時間やプラスアルファの距離の半径の円を描いてみましょう。その範囲で探してみると、これまでなじみがなかった沿線や郊外、お隣の県など、通勤圏内でありながら自然豊かな住環境といった立地が見つかるかもしれません。
リフォーム・リノベーション用の中古物件探しのポイント
おおよそのエリアを決めたら、実際に目と足で物件探しをすることになりますが、中古物件の状態は千差万別です。リフォーム、リノベーションが前提なら、内装や設備の古さにこだわる必要はありませんが、耐震性が足りなかったり、構造や土台に不具合があったりすれば、よけいな修繕コストが大きくなり、リフォーム、リノベーションの予算にくい込むことも。そんなことにならないように、次のポイントに注意しましょう。
・築年数
中古物件の価格は築20年ほどで下げ止まり、築30年以降はほぼ横ばいとなるのが一般的。戸建住宅の場合は築20年で建物の価値が限りなくゼロになるため、ほぼ土地代のみで購入することができます。また、築20~30年程度の物件であれば、設備などにもまだ致命的な劣化は少ないため、リフォームやリノベーションにかける料金を抑えることができるでしょう。
・建物の適法性
建築基準関連の規定を満たしている建物には、建築後の検査を経て「検査済証」が交付されます。この検査済証がない物件、また建ぺい率や容積率※がオーバーしているといった物件は増築などができない可能性があります。購入前に必ず仲介業者に確認しましょう。
※建ぺい率・容積率:土地の広さに対してどれくらいまで広い建物を建てられるかを示す基準であり、地域ごとに定められています。例えば建ぺい率が70%と指定されている地域の場合は、100㎡の土地に対して、建築面積は70㎡までとなります。
・耐震性
1981年の新耐震基準以降に建てられた住宅は一定以上の耐震性があると考えられます。また、2000年の耐震基準の改訂以降の建物なら、より安心です。地盤についても、軟弱地盤や液状化、造成地の盛土部分にあたらないか、役所のハザードマップなどで調べることをおすすめします。
新耐震基準以前の建物の場合は耐震補強が済んでいるか、また軟弱地盤などの場合は地盤改良されているか、仲介業者などに確認してもらいましょう。
・構造や土台、基礎
柱や梁などの構造や土台に腐食、シロアリ被害、また基礎にひび割れなどがあれば、建物の耐久性が損なわれている恐れがあります。屋内の雨漏り跡や柱・梁の変色、木部のシロアリ被害、基礎部分のひび割れなどがないか確認しましょう。詳しくは、設計士などの専門家に天井裏や床下まで調査してもらう必要があります。
・過去にリフォーム・リノベーションされているかされていないか
過去にリフォーム、リノベーションされている中古物件を購入する際は要注意。売り主や以前の居住者でなく不動産会社がリフォーム、リノベーションをする場合、コストダウンのために見えない部分の劣化を放置するというケースがあり得るからです。また、リフォーム、リノベーション済み物件の価格には工事費用が上乗せされることが多く、どうしても高値になりがち。内容や設備を変える予定があるなら、リフォーム、リノベーション前の物件を探す方が良いでしょう。
・変更が少なくて済む間取りであるかどうか
間取りを変えるとなると、かなり大がかりな工事になり、費用も跳ね上がります。例えば、ダイニング、キッチン、リビングの壁を取り払ってLDKにするとなると100~300万円という高額な費用に。また、物件の構造によっては、間取りの変更ができないケースもあります。間取りにおいては、物件探しの段階で希望に近いところを見つけておきたいものです。
・壁式構造ではなくラーメン構造か
間取りを変えるにあたって重要になるのが建物の構造です。低層マンションに多い「壁式構造」は壁で建物を支える構造のため、壁の撤去を伴う間取り変更はできません。一方、戸建てや高層マンションに多い「ラーメン構造」は柱と梁で建物を支えているので、必要な壁以外は撤去可能で比較的自由に間取りを変えられます。
・ツーバイフォー工法ではなく在来工法か
間取りの大幅な変更や、窓・出入口の大きさの変更などをしたい場合は、ツーバイフォー工法よりも在来工法で建てられた建物の方が向いています。ただし、工法の違いは素人にはわかりづらいので、仲介業者や建築の専門家による確認が必要です。
以上のようなポイントを押さえて物件探しをすることで、より良い状態の中古住宅に出会える可能性はグッと高まります。自分の目で確認をするのはもちろん、専門家の意見も参考にして最良の物件を探してみてください。
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