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屋根素材の環境負荷について考える

屋根

カーボンニュートラルやSDGsなど、環境問題とセットで語られる言葉が増えてきた昨今。屋根や外壁などに使用される素材においても、リサイクル性能が注目されています。そこで今回は、屋根に使われる素材のリサイクル性能や、環境に配慮した家づくりに役立つ情報をご紹介していきます。
 

屋根素材ってリサイクルできるの?

 
屋根に使われる素材にも、寿命は訪れます。役割を終えれば捨てることになりますが、環境負荷という視点でみると、その素材が「リサイクルできるのかどうか」は注目されるポイントではないでしょうか。素材の話に入る前に、まずはリサイクルを含む3Rについて確認しておきましょう。
 
◎リデュース(Reduce)
製品を作る際に使う資源の量を少なくすること、廃棄物の発生を少なくすること。
 
◎リユース(Reuse)
使用済み製品や、その部品などを繰り返し使用すること。
 
◎リサイクル(Recycle)
廃棄物などを原材料やエネルギー源として有効利用すること。
 
上記3つの総称が3Rと呼ばれており、環境に配慮した取り組みとして推奨されています。製品において使用する材料を削減すると共に使用後のゴミも減らそうというリデュース、使える限り何回も製品を再利用するリユースは大事ですが、素材の視点で見た時に重要なのはリサイクルです。では、屋根に使われる素材の中でリサイクル性能に優れた素材は何なのでしょうか。
 
 

最強のリサイクル性能をもつ素材は「鉄」

 
実は、屋根素材の中でもダントツでリサイクル性に優れている素材が「鉄鋼(スチール)」です。現在主流のガルバリウム鋼板も鉄鋼製品であり、廃棄後は必ずリサイクルされてさまざま鉄鋼製品の材料に生まれ変わっています。それでは、鉄鋼のどこが優れているのかを5つのポイントに分けて見ていきましょう。
 
1. 回収が簡単
鉄はご存じの通り磁石にくっつくため、簡単に回収できます。一方、実は磁石にくっつく物質(金属)は、鉄以外はほとんどありません。そのため、他の金属や廃棄物と混ざっていても、磁石をつかって鉄スクラップだけを簡単に選別回収することができます。これは、他の素材に無い、極めて大きな特徴です。
 
2.再生時の環境負荷が少ない
寿命を終えた鉄鋼製の屋根は解体後に鉄鋼スクラップとして全量が回収されたあと基本的には再溶融するだけで新しい鉄鋼製品に再生(リサイクル)できます。リサイクルにより、最初の鉄鉱石から鉄を作るよりも、環境負荷をとても低く抑えることができます。
 
3. 用途の多様性
鉄鋼は、結晶構造で特性が大きく変わる素材です。鉄スクラップ溶融時には結晶構造がリセットされ、新たな鉄鋼製品では別の結晶組織構造にすることができるため、多種多様な鉄鋼製品へと生まれ変わることができます。
 
4. 不純物を除去できる
鉄鋼スクラップを溶融、再生する時に、酸素を吹き込むことで鉄以外の不純物はそのほとんどをスラグ(鉄以外の不純物が分離したもの)あるいはガスとして除去できます。一部、銅など除去できない物質もありますが、これらは磁石による選別で混入を防ぐことができます。
 
5. スクラップに経済価値がある
鉄鋼スクラップは価値があるため、廃棄物ではなく「有価物」として取引されています。補助金などを受けることなく、市場原理に基づいて世界中で価値のある商品として取り引きされるため、自律的にリサイクルが行われています。
 
 

「鉄」は環境に優しい素材

 
環境負荷、特にCO2排出という視点で鉄の特性をもう少し掘り下げてみます。先ほど、鉄鋼スクラップは基本的には再溶融するだけで再生できることをご紹介しました。では、再生時のCO2排出はどの程度なのでしょうか。
 
◎鉄鉱石から石炭を使って鉄1t製造(最初のみ): 約2tのCO2が発生
◎鉄スクラップから鉄1tを電気炉で再生: 約0.5tのCO2が発生
 
鉄は鉄鉱石から製造するよりも、リサイクルで再生したときの方がCO2排出量を約4分の1に抑えられます(溶けた鉄を固めるまでの段階。最終製品の種類によって排出量は異なります)。しかも、鉄鉱石は一度鉄にしてしまえばその後はずっと鉄のままなので、リサイクル回数は無限で、何度でも、そして何にでも生まれ変わり、屋根以外の製品にも形を変えて役割を果たし続けます。この点からも、鉄鋼が、他の素材と比べて環境に優しい素材であることがよく分かります。
 
でも中々、簡単にこのような情報を得るのは難しいですよね。最後に環境負荷状況を簡単に調べることができる、「環境ラベル」のご紹介をします。
 
 

環境負荷状況を知るには?-「環境ラベル」の活用を

みなさまは「環境ラベル」というものをご存知でしょうか? 国際規格ISOに基づき認証、発行される環境表示のひとつで、ある製品やサービスが、環境負荷をどれくらいかけているのかを教えてくれるものです。環境ラベルはタイプⅠ(公的な環境基準への合格の表示)、タイプⅡ(事業者の自己基準に基づく環境表示)、タイプⅢ(定量的な製品環境負荷データの開示)の3種類に分類され、タイプⅢの中に「エコリーフ宣言」というものがあります。エコリーフ宣言は、LCA(ライフサイクルアセスメント※)手法を用いて製品の環境負荷情報を定量的に開示する日本の一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)で運営されている環境ラベルで、認証を受けた製品は、SuMPOのホームページを通して簡単に対象製品の環境負荷を表示することができます。これによって製品購入者は使用する製品のライフサイクルでの環境負荷を客観的に評価することができます。
エコリーフ宣言は、さまざまな製品で認証が行われていますが、特に建材の場合、建築分野の環境認証であるLEEDにおいてエコリーフ宣言が発行されている製品の一定量の使用で加点が与えられるなど、エコリーフ宣言を行っている製品は環境評価が高まることが期待されております。
 
新築やリフォームを考えている方は「エコリーフ宣言」はじめとした「環境ラベル」を参考にしながら、環境に配慮した家づくりを目指してみてはいかがでしょうか?
 
※LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?
「製造」「使用」「廃棄」「リサイクル」というライフサイクル全体における環境負荷を評価する考え方のこと。詳細については、下記を参照ください。
 
(参考サイト)https://www.nipponsteel.com/csr/steel/
(参考動画)https://www.nipponsteel.com/company/video/lca.html
 
<ご参考>
・本サイトを運営している、日鉄鋼板株式会社では、2023年1月に外装建材分野の製品としては初めて、6 製品(めっき鋼板、塗装鋼板、金属サンドイッチパネル、ニスクルーフ®L145 、金属サイディング、軽量形鋼)でエコリーフ環境ラベルを取得しております。 詳細については、下記を参照ください。
 press_20230116_01.pdf (nipponsteel.com)
・エコリーフ認証制度について 下記を参照ください。
エコリーフ環境ラベル (ecoleaf-jemai.jp)
・エコリーフ環境ラベル 認証製品については下記より検索できます。
 認定製品一覧|SuMPO環境ラベルプログラム|一般社団法人サステナブル経営推進機構 (ecoleaf-label.jp)

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