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ご存知ですか?あの歴史的建造物の瓦屋根のヒミツ

屋根材

お城やお寺の意外な瓦屋根

日本のお城や神社仏閣などの屋根には古くから瓦が使われてきました。伝統的な日本の瓦といえば、黒やグレーの陶器瓦が一般的です。そして、伝統的な建築物には、本葺瓦がよく用いられます。また、いぶし銀といわれる黒っぽいグレーが一般的です。とはいえ、なかには、そんなイメージを超えたユニークなものもあります。
今回は、歴史的な建物の意外な瓦屋根についてお話しします。

首里城の赤い屋根のヒミツ

亜熱帯の青い空に映える赤い屋根が印象的な首里城。本来は、15世紀から19世紀まで続いた琉球王朝の時代に建てられたものです。第2次世界大戦で全焼し、1992年に、18世紀当時の姿に復元されました。
本土の伝統建築とはおもむきが異なり、エキゾチックなイメージが強い首里城ですが、独特な建築様式は日本と中国の築城文化の融合によるもの。その貴重な価値が認められ、2000年に首里城跡として世界遺産に登録されました。
さて、首里城の赤い屋根は「琉球赤瓦(りゅうきゅうあかがわら)」という素焼きの瓦で葺いたもの。このあざやかな赤はどうやって出しているのか不思議ではありませんか?それは沖縄の風土に密接に関係しています。

沖縄の風土に根ざした琉球赤瓦

琉球赤瓦は沖縄の鉄分を多く含む土が原料です。土に水を混ぜて成型し乾燥させたあと、高温で焼く本土の瓦とは違い、低温で素焼きにすることで土の中の鉄分が酸化し独特の赤い色になります。本土の瓦のようにしっかり焼けば黒い色になりますが、あえて素焼きにすることにヒミツがあるのです。
素焼きの瓦には吸水性があります。沖縄の瓦は雨が降るといったん水を吸収し、気温の上昇に合わせて水分を蒸発させて熱を逃し、温度を下げる働きをするのです。
琉球赤瓦は亜熱帯の沖縄の暮らしに最適な屋根材といえますね。首里城の屋根にはこの伝統的な瓦が使われています。沖縄のシンボル首里城には、その風土に根ざした建築文化の知恵が込められていたのです。

原因不明の火災で大部分が焼失

2019年10月31日、首里城を悲劇が襲いました。大規模な火災が発生し、それにより正殿は2つの龍柱を残して全焼。その他にも建物8棟が消失しました。火災の原因は不明。当時は深い悲しみが広がりました。現在は多くの人が復旧工事に携わっており、完成予定は2026年。首里城正殿の赤瓦に使用されていた土は、現在ほぼ採れる可能性がないそうです。それでも焼け残った赤瓦の再利用や、進歩した技術の力を使いながら再現を目指しています。朱色に輝く美しい首里城をよみがえらせるために、今現在も技術者たちの奮闘が続いています。

歴史ある寺院にハイテク素材の屋根

一方、沖縄から離れた東京には意外な瓦屋根のお寺があります。観光スポットとしても有名な都内最古の寺院、浅草寺の宝蔵門は2007年、本堂は2010年、改修工事により屋根が葺き替えられました。いずれの屋根も竣工後、従来のような重厚な瓦屋根の姿を見せていますが、実は、そこに使われているのは伝統的な陶器の瓦ではありません。
改修にあたって、お寺側からは古くなった瓦屋根を軽く丈夫な屋根にしたいという要望がありました。多くの人が訪れるため、災害に強い安全な建物をという配慮からです。そこで、採用されたのが、チタン製の金属瓦だったのです。
チタンは比較的近年に実用化された金属で、ジェットエンジンのタービン翼などに利用されるハイテク素材です。軽く半永久的な耐久性があり、屋根材としても非常に優秀ですが、曲げても元に戻ってしまうという非常に加工しづらい性質も持ち合わせています。
しかし、素材メーカーの試行錯誤を重ねた技術革新により、陶器瓦そっくりの加工が可能になったのです。また、チタン瓦には陶器のようなマットな風合いもあり、新しくなった浅草寺の屋根は瓦専門の業者も見間違えるほど。さらに、チタン瓦の屋根の重量は従来の陶器瓦の屋根の8分の1という軽さで、耐震性も高まりました。これなら、安全に毎日多くの参拝客や観光客を迎えられます。

千年以上の歴史ある浅草寺の屋根にハイテク素材が使われていたとは、意外でした。伝統的な瓦で3世紀前の状態に復元された首里城とは好対照といえます。瓦屋根にも伝統と革新があるのです。興味深いですね。

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