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アルベロベッロと白川郷 異なる屋根材のとんがり屋根の意外な関係

屋根材

イタリアのユニークなとんがり屋根

世界には、いろいろな変わった屋根があり、ユニークで美しい屋根が世界遺産となる景観をつくり出している場所があります。そんな場所の1つ、イタリア南部のアルベロベッロという村をご存知ですか?
アルベロベッロは1996年にユネスコ世界遺産に登録されました。ここには、トゥルッリと呼ばれる急な傾斜がついた屋根の民家がたくさん立ち並んでいます。その数は1000棟以上といわれますが、その景観はまるでおとぎの国のよう。世界中でここだけでしか見ることができません。

イタリアのユニークなとんがり屋根

グレーの屋根に白い外壁のトゥルッリは、絵本に出てくるような小さなかわいいお家といったイメージです。また、どうしてこんなにたくさんの家々がすき間なく密集して建っているのか不思議に思えますが、そのヒミツは構造と建築材料にあります。
トゥルッリは1つの部屋に1つの屋根が乗っています。そうした部屋が内部で行き来できるよう、いくつもつながる形で一軒の建物となっているので、密集しているように見えるのです。そんなトゥルッリの構造は簡素なもので、土台や骨組はありません。セメントなどを使わずに屋根も外壁も石灰岩を積み上げただけで造られています。外壁が白いのは漆喰を塗って仕上げているからです。

風土に合った住宅のトゥルッリ

とてもシンプルな構造といえるトゥルッリですが、壁はすき間のある2重構造になっています。これは、雨の少ないこの地方で、屋根に流れる雨水がこの壁のすき間を通り、床下の貯水槽に溜まるようにするためです。急勾配のとんがり屋根は雨水がよく流れるので、効率良く水を溜められますね。また、白い漆喰壁には、南イタリアの暑い外気を遮断する効果があります。
巨大な鍾乳洞があることから、この地方では石灰岩は昔から手に入れやすい材料でした。その起源は16世紀ごろといわれていますが、トゥルッリはその地域ならではの材料で造られた、その風土に合わせて快適で便利に暮らすための知恵がつまった住宅だったのです。そして、いまでも、生活の場としてトゥルッリで暮らす人たちがいます。

白川郷のとんがり屋根の屋根材は?

イタリアから遠く離れた日本にも、とんがり屋根が特徴的な世界遺産があります。それは、1995年に登録された岐阜県白川郷の合掌造りと呼ばれる民家群ですが、こちらのとんがり屋根は茅葺き。茅(かや)とは、ススキなどイネ科の多年草の総称なので、茅葺き屋根とは、草を屋根材としてつくる屋根になります。石を屋根材とするトゥルッリとは好対照ですね。
屋根には、雨水がスムーズに流れるように勾配をつける必要があり、その角度は屋根材によって異なります。茅葺きの場合は瓦屋根などよりも急勾配になりますが、白川郷の茅葺き屋根には、それよりもさらに急な勾配がついています。その理由は、この地方では養蚕が盛んで、屋根裏に蚕を飼うための広い空間が必要だったからです。

屋根がつなぐアルベロベッロと白川郷

茅は日本中で手に入るものですから、白川郷のとんがり屋根もその土地の風土に根ざしたものといえます。また、アルベロベッロのトゥルッリと同様に、いまでも合掌造りの民家は生活の場として使われています。
この他にも多くの共通点があることから、アルベロベッロと白川郷は2005年に姉妹都市となりました。遠く離れたイタリアと日本のとんがり屋根。対照的な屋根材でできていますが、実はつながっていたのですね。

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