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オリンピックの屋根トリビア? 国立代々木競技場の屋根材と美しさのヒミツ

屋根材

再注目される国立代々木競技場

2020年の2度目の東京オリンピック開催に向け、新国立競技場や選手村の建設が急ピッチで進んでいます。一方で、前回開催時の施設を今回も利用することが決まっています。そうした施設の中でも、特に有名で再注目されているのが「国立代々木競技場」です。

ご存知の方も多いと思いますが、国立代々木競技場は前回開催時のサブ会場として建設されました。1964年ですから、実に、50年以上前のことになります。長い年月を経た今でも、美しくスタイリッシュですし、当時としても、「デザイン」「構造」ともに画期的なものでした。

この競技場を設計したのは、建築家の丹下健三氏。モダニズム建築の旗手であり、日本人建築家として、世界で最も早くから評価されるようになった1人です。

ユニークな屋根を生み出した構造とは?

国立代々木競技場は、第一、第二体育館と、この2つの体育館の間にある付属棟の3つの建物によって構成されています。メインとなる第一体育館は、地上から見てもユニークな建物であることがわかりますが、上空から見ると、丸い貝殻のような形の屋根に目をうばわれます。この屋根が代々木競技場の大きな特長であり、「吊り屋根構造」によって形づくられています。

「吊り屋根構造」とは、吊り橋のように2本の支柱を立てワイヤーを通し、屋根を吊るといったもの。これにより体育館の中には柱がなく、選手と観客を包み込むような一体感のある大空間を確保できたのです。この構造は、当時世界的にも前代未聞といえるものでした。

次のオリンピックもメンテナンスがあってこそ?

代々木競技場のシンボルである第一体育館の屋根ですが、どのような材料でできているのでしょうか? この流れるように美しいフォルムをつくり出している屋根材は4.5ミリの厚さの鉄板です。鉄といえば錆びるというイメージが強いですが、50年以上を経ても、この美しさが維持できているヒミツは、実は「メンテナンス」にあります。

そのメンテナンスとは、塗装の塗り替えです。代々木競技場では、1968年から数年おきに大屋根の部分的な塗装の塗り替えを行ってきました。しかしながら、錆が出たところに塗り重ねをするという応急処置で対応していたため、しばらく経つと下地ごとはがれてまた錆が発生するといった状態の繰り返しでもありました。

そこで2011年、竣工後初となる塗装の全面的な塗り替え工事が行われました。今までの応急処置ではなく、一度大屋根の塗装を全部はがして鉄板の表面をきれいに補修した後、「下塗り(錆止め)」「フッ素樹脂系遮熱塗料」「トップコート」という3重(!)の塗装が施されたことで、屋根の機能性が更に高められました。歴史ある代々木競技場が次のオリンピックの舞台となるのは、こうしたメンテナンスがあってこそといえますね。

住宅にも金属屋根

さて、鉄をはじめとする金属の屋根材が使われるのは、競技場のような大きな建物だけではありません。金属の屋根材は住宅にも使用されることが多くなっており、その塗装のメンテナンスが必要であるのは代々木競技場の屋根と同じです。現在では、サビを抑える加工技術が進歩していますが、一般的な住宅の金属屋根は10年に1回程度の塗装メンテナンスをするのが良いとされています。

ここで、特に注目したいのが、ガルバリウム鋼板です。ガルバリウム鋼板は鉄の鋼板に合金めっき(亜鉛やアルミ)を施し、サビに強く耐久性を高めた金属素材で、住宅の屋根材として普及が進んでいます。その塗装の種類やグレードによっては、20年間メンテナンス不要な製品もあるほどです。

国立代々木競技場の建設から50年以上。進化した金属の屋根材、ガルバリウム鋼板がいつまでも美しい住宅の屋根をつくりだします。

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