屋根勾配がデザインのポイント? 歴史に残るおしゃれな屋根の家
おしゃれな家は屋根がポイント?
家の外観デザインは主に屋根と外壁によって構成されます。特に屋根は家の表情をつくる重要な要素ですが、モダニズム建築には屋根が特徴的な住宅がよく見られます。今回は、そうした住宅の中から、現代のおしゃれな家づくりの参考にしたくなる2つの作品をご紹介します。
屋根勾配がつくる家の表情
エリスマン邸の外観デザインを見ると非常にすっきりとしたシンプルな印象を受けますが、これは、伝統的な意匠を重んじるモダニズム以前の洋館建築とは一線を画すスタイルとなっています。特に、そのイメージを強調しているのが、ゆるい勾配のスレート屋根でしょう。控えめといっていいほどシンプルなエリスマン邸の屋根ですが、水平線を強調した軒や2階と1階で方向を変えて張られた羽目板の外壁、よろい戸などとの組み合わせで、表情豊かな外観をつくり出しています。
屋根の印象を決めるのは
さて、次にご紹介するのは、同じく木造のモダニズム住宅の1つですが、こちらは大きな屋根がシンボルの「前川國男邸」です。この住宅は、日本の近代建築の発展に貢献した建築家、前川國男の自邸として1942年、東京都品川区に建てられました。現在は東京都小金井市の江戸東京たてもの園で見ることができます。
前川國男はフランスで「モダニズムの巨匠」ル・コルビジェに師事した後、日本で開設されたレーモンドの設計事務所で働き、その後、独立して自身の事務所を立ち上げました。その事務所の所員であった崎谷小三郎が、前川邸の設計を担当しています。
存在感ある和のイメージの大屋根
全体として和のイメージが強い前川邸ですが、現代の和モダンに通じるセンスが感じられます。モダニズムの旗手と呼ばれた建築家の自邸が日本の伝統イメージを取り入れたものであったのは非常に興味深いですね。
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