屋根の形にはどのようなものがある? 屋根の形状と特徴
住まいの建て替えやリフォームの際、屋根の形状を変えることがあります。小規模なリフォームの場合だと屋根にまで手を加えることは少ないかもしれませんが、屋根のリフォームや建て替えとなると、屋根についての知識も必要になってきます。ここでは屋根の役割や形状などについてご紹介いたします。
屋根にはどんな役割がある?
普段はあまり意識することのない屋根ですが、建物のなかで屋根はいったいどのような役割を担っているのか、屋根が持つ具体的な役割についてご説明します。
屋根のもっとも重要な役割は、外部から建物内への雨風の侵入を防ぐという点です。建物内に雨が少しでも侵入すると、内装材が浸水してしまい、カビが生えるなど腐食の原因になります。これを放置すると柱や梁といった構造体にも、大きなダメージを与えてしまう可能性があります。
また近隣の家屋が火事になった場合、屋根材には不燃材料・不燃下地が使用されているため、もらい火からの火事は起こりにくくなり、二次災害を防ぐという役割も担っています。
普段は意識する事はあまりありませんが、屋根は私たちの生活環境を整えるために大きく貢献してくれているのです。
屋根の形状と特徴
そんな屋根ですが、実はさまざまな種類が存在し、それぞれに特徴があります。建て替えやリフォームを検討する際には、屋根の形状や種類にも注目してみましょう。ここでは屋根の形状や、どのような屋根材を選択するべきかをご紹介していきます。
・切妻(きりづま)屋根
四角い建物に三角の屋根がついているように見えるのが切妻屋根で、日本の住宅においてもっともポピュラーな形状の屋根です。切妻屋根は構造がシンプルで、建築工事におけるコストも抑えやすいという特徴があります。新築だけではなく、大規模なリフォームやリノベーションをするため、できるだけ予算を抑えたい……というケースでも切妻屋根が選択されることはよくあります。
構造がシンプルで比較的丈夫な造りとなっており、雨漏りなどにも強い構造になっています。メンテナンス性が高いという部分も魅力的なポイントです。仮に不具合が発生した場合も、他の形状の屋根に比べて短期間で修理できるというメリットもあります。
・方形(ほうぎょう)屋根
方形屋根は、棟の中心・屋根の頂点が、建物の中心に向かって高くなっている形状の屋根を指します。正方形の建物の屋根に用いられるため、見た目のバランスの良さから、古くは寺社仏閣に多く用いられていました。また、切妻屋根と違い、四方に均等に傾斜をつけているため、風雨にも強いのが特徴です。
・片流れ屋根
片流れ屋根は切妻屋根を半分に切ったような形状の屋根です。切妻屋根や方形屋根というのは三角形の頂点から左右に角度がついていますが、片流れ屋根の場合だと、三角形の頂点から片側がなく、片方向にだけ角度がついている形状です。近年人気のある形状で、デザイナーズ系の住宅や敷地が狭い場合によく採用される傾向があります。こちらも構造がシンプルなためコストを抑えることができますが、雨が片一方にしか流れないため、切妻屋根や方形屋根より特定の箇所に雨水が集中してしまい、その部分の劣化が早くなってしまう可能性があります。
・寄棟(よせむね)屋根
寄棟屋根は真上から見ると4つの方向に角度がつけられているように見える屋根です。正対したときに左右のバランスが良く見え、和洋どちらの住宅にも合います。ハウスメーカーの住宅などでも寄棟構造の家が多くなっているため、比較的よく目にする形状になっています。強風に強い造りですが、大棟(おおむね)と下り棟の取り合い部分がやや複雑な構造になってしまうことから、きちんと板金処理をしていても雨漏りが発生する可能性があります。そのため定期的なメンテナンスや修理が必要になってきます。
・入母屋(いりもや)屋根
上部切妻と下部寄棟が合わさった形状で、日本瓦を葺いた伝統的な屋根や和風の住宅によく見られる構造の屋根です。耐風性の高い屋根ですが、構造が複雑で高い技術力が必要とされます。見た目の力強さや美しさを表現できる一方、コストも高くなりがちで、メンテナンス性が悪いのがデメリットと言えるでしょう。
・陸(ろく、りく)屋根
陸屋根とは角度がついていない水平の屋根です。ビルの屋上などをイメージすると分かりやすいかもしれません。屋根に傾斜がないことから、雨を流すことが難しく、雨が溜まりやすい傾向にあります。住宅の屋上を庭にしたい!というような場合には採用を検討することになる構造ですが、木造住宅では採用が難しく雨漏りのリスクも高いことから、戸建て住宅には不向きといえるかもしれません。
屋根にもさまざまな形状があり、それぞれに特徴があります。メリット、デメリットをしっかりと理解したうえで、自分の家や環境にマッチした屋根を選択しましょう。
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