Supported by NIPPON STEEL 日鉄鋼板株式会社

屋根と暮らしのスタイルマガジンRoofstyle

見た目だけじゃなかった屋根飾りに込められた想いとは?

屋根

どんな建物にも必ずある屋根。見かけてもあまり意識することはないかもしれませんが、実はいろいろな種類の屋根飾りがあるのをご存知ですか? 今回は、屋根飾りにどういう意味があるのか、そして種類はどれくらい存在するのかなど、屋根飾りにフォーカスしてみたいと思います。
 

有名な屋根飾りの「鯱鉾」は守り神だった

 
屋根飾りと聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かぶのはやはり鯱鉾(しゃちほこ)ではないでしょうか。特に金鯱(きんしゃち)は、名古屋城や大阪城のシンボルとしてもお馴染みですよね。鯱鉾はほかにも、弘前城(青森県)、新発田城(新潟県)、犬山城(愛知県)、姫路城(兵庫県)、広島城(広島県)、松山城(愛媛県)、高知城(高知県)、熊本城(熊本県)など、数多くの城で屋根飾りとして使われています。鯱というと海のギャングとも呼ばれる白黒の海洋生物のシャチと思ってしまう方もいるかもしれませんが、実は屋根飾りの鯱は空想上の生き物。江戸時代に書かれた百科事典「和漢三才図会(わかんさんさいずえ)」では、体は魚で頭は虎(龍ともいわれる)、背中に棘と口には牙があると解説されていて、あの巨大な鯨ですら殺すどう猛な生き物として紹介されています。口から水を吐き、火を消す力があるのだとか。そして、この特徴に屋根飾りとしての鯱鉾生誕の理由が隠されているのです。
 
当時、日本は木造建築が主流の時代でした。木造建築の大敵となるのが火事。鯱は先ほどの特徴でも紹介したとおり、口から水を吐いて火を消す力があるとされているので、寺院の本堂など重要な建物の屋根に火除けの守り神として鯱鉾を飾るようになったのだそうです。それを天守の飾りとして城に取り入れたのは、織田信長の安土城。中国文化に傾倒していた信長は、中国の宮殿の屋根の上に載っていた竜を真似て鯱を載せたのだと考えられています。その後、信長の遺志を引き継いだ豊臣秀吉が大阪城の天守に金鯱を飾って権威を示し、全国の大名たちにも鯱鉾が広まりました。城の鯱鉾には、信長に対する尊敬の念も込められているのです。そして屋根飾りは鯱鉾以外にもたくさん種類あり、それぞれに込められた意味があります。
 
 

屋根飾りには厄除けの意味が込められたものが多い?

 
城の屋根飾りだとあまり自分ごとのように感じないかもしれませんが、一般家屋にもさまざまな屋根飾りが存在します。まずは、神社や昔ながらの日本家屋に付いている「鬼瓦」が有名です。文字通り鬼の顔をした迫力ある屋根瓦で、インパクトは抜群。その恐ろしい顔には、厄除けや魔除けといった想いが込められているのだそうです。見た目だけの印象で、ものすごい効果がありそうですよね。
 
似たような名前の「鬼飾り」は、和風だけでなく洋風の建物にも設置されることがある屋根飾り。こちらには鬼の顔はなく、飾りとしての役割以外にも雨漏りを防ぐといった実用的な目的で設置されています。また、ニワトリを模した「風見鶏」も有名な屋根飾りのひとつ。主な目的として知られているのは風が吹いている向きを教えてくれるものですが、警戒心が強い雄の鳥を模していて、魔除けの意味が込められています。
 
お気づきの方も多いかもしれませんが、ここまで紹介した屋根飾りに共通する点として、厄除けという意味が込められています。城にも家屋にも人が住んでいるので、人の力が及ばない災いを、自分や家族に近付けたくないという願掛けが多いのは自然な気もしますよね。もし自宅に付けたいと考えている方がいるなら、デザインの好みだけでなく屋根飾りに込められた想いも意識してみてください。
 
 

ユニークな屋根飾りを街で探してみよう

ここまで、シャチホコや鬼瓦など、日本の瓦屋根で定番の屋根飾りについてご紹介してきました。これ以外にも、日本、そして世界にはさまざまなユニークな屋根飾りがあります。 そのごく一部をご紹介していきます。

 
【シーサー】
たとえば琉球瓦を使った屋根にはシーサーが載せられたものもあります。シーサーは沖縄の守り神としても有名なので、こちらにも厄除けの意味合いがありそうですよね。
 

 
【きつね】
きつねが載せられた屋根、どこにあるか分かりますか? きつねといえば稲荷神社ですよね。全国にある稲荷神社の屋根にはきつねが飾られているところもあるようです。デザインはさまざまですが、イメージするきつねよりも神々しさを感じる表情が特徴的ですね。
 

 
【狛犬】
日本の守護獣としてお馴染みの狛犬や獅子なども、屋根飾りとして採用されています。威厳の中にどことなく可愛らしさを含んだ表情で屋根から見下ろす姿は、神社仏閣の雰囲気にぴったりです。
 

 
【三猿】
三体の並んだ猿、見ざる言わざる聞かざるを表現した独特な屋根飾り。仲良く並んでちょこんと座る姿からは愛らしさが漂っています。神社仏閣の厳かな雰囲気の中にある親しみやすい屋根飾りには、思わず二度見してしまう人も多いはず。
 

 
【鯉】
天に登るように泳ぐ姿の鯉の屋根飾り。鯉は古くから出世の象徴とされており、立身出世や発展の願いが込められています。水にちなんだモチーフが取り入れられていることから、防火の意味合いがあることも読み取れます。
 

 
【フクロウ】
こちらはフクロウの屋根飾り。フクロウは「福来郎」「不苦労」といった当て字ができることから幸運を運ぶ鳥として親しまれているので、とても縁起が良さそうですね。和風より洋風の建物に合いそうな動物というのもポイントです。
 

 
【鳩】
屋根に止まった鳩……ではなく、鳩の屋根飾りです。屋根飾りの中でもポピュラーな部類なので、探せば意外と近くにもあるかもしれません。写真のように色が付いていれば見間違えることもなさそうですが、中には本物と間違えそうなくらい馴染んでいるものも。
 

 
【龍】
ベトナムの古い建物の上には龍の屋根飾りが。もちろん海外にもさまざまな種類の屋根飾りがあります。中には飾りの方がメインでは……と思うほどド派手なものもあるので、いろいろな国の屋根飾りをチェックしてみるのも面白いかもしれません。

 
さまざま種類の屋根飾りを紹介してきましたが、ご存知のものはありましたか? 屋根飾りの中には皆さんがご存知の有名なものからユニークなものまで、さまざまな種類のものがあります。ここで取り上げたのはごく一部で、亀、兎、猫など動物だけでもかなりの数になるほど。屋根飾りに興味を持った方は、自分の街にはどんな屋根飾りがあるのか探してみませんか?
 
 

記事についてお気軽に
お問い合わせください。

お問い合わせ

閲覧履歴からあなたにおすすめの記事です。

ALL RANKING全ての記事ランキング

全て ライフスタイル 屋根 リフォーム 屋根材 メンテナンス 耐震

KEY WORDSキーワードから記事を探す

PAGETOP